先日、図書館へ出かけたときのことです。これといって決まった書籍を探していたわけではなかったのですが、館内をぶらぶら歩きながら興味を引く本はないか探していたときのことです。そこで偶然にも私の目に留まった書籍がありました。
その書籍の一部に面白いことが書いてありましたので、ここでご紹介させていただきます。その内容は、「タイトルは何文字までなら読まずにわかるのか?」という素朴な疑問です。私たちは普段、看板や駅名ボードなどに書かれている文字をしっかりと読んでいるだろうか。実は、ほどんどの人がしっかりと読んでいないにもかかわらず、瞬時にその内容が頭の中に入っているのです。つまり、文章を読むことなく見るだけでその意味を理解できているのです。
この着眼点は大変面白く、とても興味深いものでした。では、具体的に例を挙げてみます。以下をご覧いただきたいのですが、上段は14文字、中段は16文字、下段は18文字の文章です。それぞれの文章をパッと見てみてください。比べてみると文字数が増えるにつれ、瞬時に内容が入ってこなくなるのがお分かりになると思います。
・近頃は暖かくなってきましたね
・図書館で借りた本はご返却ください
・来週の情報共有会議を延期してください
ゲーム世代といわれる若年層は文字を読む能力に長けていて、最大25文字までストレスなく読むことができるようです。このように個人差はあるようですが、ある調査によって一般的に文字を一瞬で認識できる最大領域は16文字だということがわかりました。
さて、次に気になることは、どこでそういった研究結果を導き出したかということです。書籍によると、何文字までなら読まずに理解できるのか?というテーマを研究している大学や専門的な研究機関はなかったそうです。特に文字数までとなるとこれといった回答を得られることはなく、10年以上が経ったあるとき、とうとう文字数について研究している人に行き着いたのです。
そこでクイズです。この研究をしていた人は誰でしょうか? 答えは下のページにありますが、先へ進む前に少し考えてみてください。
では、クイズの答えを発表します。
パッと見て理解できる最小文字数を研究していたのは、テレビ局などで字幕を作る人だったのです。私は答えを知ったとき、「なるほど、テレビ局はここまで研究しながら放送してるのか。流石だなぁ」と思いました。テレビ局では、画面をみて映像の内容を理解しながら、同時に出ている字幕を瞬時に判読できなければ、番組を楽しめない。文字数が多くなると「読めない」などとクレームが多くなる。このような長年の苦悩のなかで導き出した数字が16文字だったそうです。
このように16文字の法則が分かるだけでも、タイトルや文章を書くときにはとても参考となりますね。今回私が読んだ書籍は、ビジネス書作家である戸田覚氏の「ウケる文章の書き方」という本で本書の内容から一部抜粋してご紹介させていただきました。戸田氏の会社のウェブサイトがありましたのでここにリンクしておきます。(リンク先 → 株式会社アバンギャルド)
そろばん業界には、モニターへ瞬時に表示された数字を計算し、答えを導き出す「フラッシュ暗算」という計算方法があります。彼らは映し出される3桁数字をコンマ何秒の世界で一瞬で頭に入れていきます。そこで思ったのが、普段フラッシュ暗算で鍛えられた人は、瞬時に映し出された文字に対して、いったい何文字まで答えられるのか? 今回の16文字の法則からして訓練された人はどれくらい違いがあるのだろうか?
いつか実験ができたら面白いかなと思っています。