ふと思った。良き指導者とはなんだろう。
教え子の能力を伸ばしてあげられる指導者。
一般的にいえば、素晴らしい指導者だろう。
もちろん正解だが、これだけで良いのだろうか。
何かが足らない。
何だか盲点があるような気がしてならない。
そう考えていたら、昔のことを思い出した。
少年野球だ。
私には野球センスがなかったのかもしれないが、実は心底そう思ってはいない。
そこに入ったのは中途入団だった。公園で楽しそうにプレーする少年たちの姿に惹かれ自分もやってみたくなったのがきっかけだ。
すでにプレーしている少年たちと初めてチームというものに触れる私との実力差は歴然だった。
コーチは力のある選手を手厚く指導する。
チームが勝つためには当然だ。しかも目先の試合に照準を合わせるなら尚更だ。
私は昔から運動神経は良い方だった。ここでは遠慮せずに言わせていただくが、それもかなり良いと思っている。
当時のコーチの練習プランは、私たち中途少年への指導はほどほどに、そそくさとお気に入り選手の元へ行く。練習量、経験値、受けられるものがまったく違う、これではいったい何を学んでいるかわからない。まあ、私たちがお荷物だったことだけは確かだ。
ここだ!
気にかかっていたことはここだ!
指導者は頭ごなしに決めつけてしまってはいけないのだ。それも足らないかもしれない知見だけで尚早な判断を下し、本来の実力を引き出さず切り捨てる。
指導者は本来の目的を忘れてはならない。
教え子の力を最大限まで引き出せているか?
教え子をひとりの人間として向き合えているか?
注目する時間、場所、会話。そして自信をつけさせることが大事。
一流の選手を育てる指導者がいれば、初心者から中級レベルまでしっかりと向き合うことができる指導者がいても良い。
良き指導者と定義づけたとき、一般的に前者の評価は高いが、実は後者の方が良い仕事をしている気がする。
なぜならば、誰もが初心者から始めるのだから。
もし、指導者に恵まれてたのならば、私は今頃なにをしていたのだろう…。